後見人として保証人になるのか、親族として保証人になるのか?
よくあるご相談
施設から「後見人と保証人の両方が必要といわれたがどうすればよいか」という相談が増えています。結論として、ご家族であれば、一人二役(後見人と保証人)でよいでしょう。
念のため、後見人と保証人はそもそも役割が違うことを確認しましょう。
後見人は、本人と施設が結んだ入所契約にある本人の権利義務を本人に代わって履行します。保証人は、その入所契約を踏まえ、本人ないし後見人が費用を払わない場合に費用を自腹で払うこと、本人が亡くなった時の遺体の引き取り等を行います。
後見人は本人の代わりですが、保証人は本人や後見人をカバーする役割であることがわかるでしょう。
後見人がいれば保証人は要らない
施設にとって2つの条件が整えば「後見人がいれば保証人は要らない」と思われます。一つは、入所者にお金があることです。入所者(被後見人)にお金があれば後見人がそのお金を払ってくるからです(払わなければ後見人の業務不履行)。もう一つは、後見人が入所者(被後見人)の死後事務を引き受けるかその手配をすることです。事務を行うことです。
以上にて、お金もご遺体も心配ないので、「後見人がいれば保証人は要らない」となるわけです。このような運用規定を設けたいという施設は少なくありません。
1.葬儀費用等を事前に下ろしていいか?
結論からして後見人として葬儀費用等を事前に下ろすことは可能です。ご家族であれば喪主が費用を負担することもあるでしょうが、本人(被後見人)のお金で被後見人の葬儀費用を賄っても問題ありません。施設や病院から「万が一の準備をされてください」といわれたら感情を抑えて粛々と事務を勧めましょう。あるいは、後見人であるあなたが誰かにそれを頼んでも結構です。履行補助者(アシスタント)や復代理人(ピンチヒッター)ということです。
2.後見人としての負担を軽減したい
「親の後見人をやっても良いが、仕事の関係で時間が取れなかったり転勤があるのでどうしようか」という相談があります。そのような場合は、あなが後見人になった上で、スポット的にものごとを決めたり作業をする人や、あなたの指示で単純作業をしてくれる人を活用することができます。前者を復代理人、後者を履行補助者と呼びます。任意後見なら当初からこの仕組みを契約に盛り込んでおいてください。法定後見なら、あなたの裁量で、都度、復代理人や履行補助者と契約するなりしてあなたの後見事務負担を軽減することができます。一方で、後見人自身が原則仕事をするという「自己服務の原則」という考えもあるので、何でもかんでもアシスタント(履行補助者)やピンチヒッター(復代理人)を使うことは好ましくありません。
まとめ
後見人と保証人の区別を理解しましょう。後見人がいれば保証人を求めない施設も増えています。後見人として、本人の葬儀費用は事前に下ろす、頼める仕事は誰かに頼むなど、現実的な対応を取るよう心がけましょう。
最近のお悩みの傾向について
解説:一般社団法人「後見の杜」宮内康二代表
家族に弁護士等の後見人がついている方からのお悩みの内容で多いのが次の3つです。
- 家族の反対を押し切って自治体が強引に後見人を付ける手続きをした
- 家裁やリーガルサポートに後見人の文句をいっても取り扱わない
- 後見制度そのものから離れる方法はないのか
ご自分が家族の後見人をされている方からのお悩みの内容で多いのが次の3つです。
- 家庭裁判所から後見制度支援信託か監督人を選べといわれ当惑している
- 監督人から不当に文句を言われ、高額な報酬を請求されて困る
- 財産管理をする後見人がつき被後見人の通帳を出せとせがんでくる
後見人をつけるかご検討中の方からのお悩みの内容で多いのが次の3つです。
- 後見人って大丈夫なの?
- 後見制度以外の方法はないの?
- 家族が後見人になるにはどうしたらいいの?
私たちは、後見される側やそのご家族の立場にたって、
一つ一つの後見事例の適切な運用をサポートします。
複雑な後見制度を紐解き、その運用を改善・向上していきましょう。