後見人が保険や株を処分する
後見人が保険を解約する理由
「後見人が保険を解約してしまった」という相談が急増しています。契約者である被後見人や受取人であるご家族に内緒での解約ばかりですから納得いかないでしょう。
後見人が保険を解約する理由は、保険料を払い続ける(被後見人の財産を減らす)より、解約返戻金をゲットして被後見人の預貯金を近視眼的に増やすことで自分の後見報酬が上がるからです。被後見人の株を売却する場合も同じです。相場を追うのも面倒なので、売って、預貯金に入れることで自分の報酬が上がるのです。金融商品の性質や価値を理解しない行為ですが、後見人の報酬の仕組み上、このようなことが起こってしまうのもまた事実です。
1.親子で後見関係にあるが、保険に新規加入して良いか?
後見制度を利用していても、必要があって、保険料を賄えるのであれば、新しい保険に入ることは可能です。ただ、被後見人が認知症等である場合は、被保険者になるよりは、契約者や受取人になることが多いでしょう。後見人は被後見人に代わって契約者や受取人の事務を代理・代行することになります。
2.後見制度を使う前に保険や不動産を買うのも一案
後見制度を使う前に、被後見人となるかもしれない人が、保険や不動産を買うことがあります。認知症等でも、残存能力ないし現有能力を活かして意思を表示し、保険会社や不動産会社がOKすれば取引は成立します。これにより後見人がついてからの報酬を抑制できる可能性も生じます。試す価値はあるでしょう。
3.同族会社の議決権行使の方法は?
被後見人になると会社法で役員を外れますが、保有する株をもとに議決権を行使する場合は少なくありません。議決権については、被後見人等が行使して、それを後見人等が同意したり取消すも良し、被後見人等に代わって後見人等が行使しても良いです。いずれにせよ、会社の定款に従い議決権を行使してください。被後見人による会社への貸し付けや出資も後見人の裁量の範囲です。
まとめ
金融商品の性質や価値を理解せず、管理が面倒とか自分の報酬が上がることを理由に、軽々しく解約や処分する後見人が増えています。不適切な処分や解約と思われる場合は家裁に通報して下さい。後見制度を使ってからも金融商品との付き合いは少なからずあります。必要に応じて適切な取引をしてください。それが後見人がついた意味ないし効果なのですから。
最近のお悩みの傾向について
解説:一般社団法人「後見の杜」宮内康二代表
家族に弁護士等の後見人がついている方からのお悩みの内容で多いのが次の3つです。
- 家族の反対を押し切って自治体が強引に後見人を付ける手続きをした
- 家裁やリーガルサポートに後見人の文句をいっても取り扱わない
- 後見制度そのものから離れる方法はないのか
ご自分が家族の後見人をされている方からのお悩みの内容で多いのが次の3つです。
- 家庭裁判所から後見制度支援信託か監督人を選べといわれ当惑している
- 監督人から不当に文句を言われ、高額な報酬を請求されて困る
- 財産管理をする後見人がつき被後見人の通帳を出せとせがんでくる
後見人をつけるかご検討中の方からのお悩みの内容で多いのが次の3つです。
- 後見人って大丈夫なの?
- 後見制度以外の方法はないの?
- 家族が後見人になるにはどうしたらいいの?
私たちは、後見される側やそのご家族の立場にたって、
一つ一つの後見事例の適切な運用をサポートします。
複雑な後見制度を紐解き、その運用を改善・向上していきましょう。